三浦 当社は2005年4月より全社的業務改革としてMPS(三浦生産方式)に取り組んでいます。社員一人ひとりの意識改革はもちろん、業務の集約・効率化・移管など着実に成果をあげていますが、次のステップはMPSによってもたらされる新たな可能性をいかに有効活用するか。マンパワーやスペースをフルに活かす新事業へのトライアルになります。
S&D事業もその一環。次代を見据え、展示・装飾・表示にとどまらず「空間を含めた環境デザイン全般に関わる事業」とかなり広範囲に位置づけ、従来の商業印刷にとらわれない、より多様性のある製品の提案・提供を目指しています。
具体的には、イベントブース、店舗などの内装・装飾・案内板・看板等の製作や交通広告、パンフレットなども含めた各種セールスプロモーションツール、絵画関係(絵画複製、ジクレー版画)、その他さまざまな環境デザインにチャレンジしていこうと思っています。こうした当社の取り組みについて、どのように思われますか。
前田 そうですね。近年、印刷そのものによる付加価値は下降基調にあります。各印刷会社ではその打破を目指し、さまざまな印刷表現の拡大や発送から在庫管理までを一貫受注するフルフィルメント等の対策を講じ、改革しようとする動きが顕著になっています。
また、今までの枠の中での競争では限界もあり、新しい領域に進出しようとする動きも見られます。例えば現状の印刷市場を基盤として、製作上流のクライアント内部、企画やセールスプロモーション分野などを取り込もうとする動きや、豊富な画像データや管理ノウハウ、デジタル技術を基にしたWebでのビジネス展開の拡大など、企業それぞれが特徴を活かした多種多様な戦略を展開しています。
三浦 まさしく当社もそのような戦略のひとつとしてS&D事業へ進出するわけですが、一般的にはどうなのでしょう。
前田 確かにS&D業界への参入を図る動きが出てきています。これは機器レベルの向上により市場のニーズに応えられる品質を実現できること、そして印刷会社が長年培ってきたノウハウの蓄積が、この分野で応用できるというところもあるのではないでしょうか。
S&D業界でも、従来の限定された仕事にとらわれず、そうしたスキルを活かし、色・形・デザイン・情報などを融合し、幅広い方面へ展開する動きが見られます。「空間を含めた環境デザイン全般」と言うのは、とても可能性の高い着眼点だと思います。例えば、FPD(フラットパネルディスプレイ)分野においても、単に表示ディスプレイや映像伝達ではなく、空間創りなどを目指す斬新な発想も出てきているようです。S&D業界においても今後さらに、ワイドフォーマットが既存のプリンターを超え、新たな価値を創造するきっかけになることを期待します。
三浦 S&D事業への参入にあたり、導入機種の選定に入りました。当初は大型ロール式プリンターも検討しましたが、将来的により幅広いニーズに柔軟にお応えしていくために、多種多様な平面素材(金属・木材・プラスチック板等)にも印刷可能な機種に絞りました。
性能はもちろんのこと、コストパフォーマンス、サポート体制などの徹底比較・検証を経て、英国inca社の大型フラットベッドUVインクジェットプレス「inca(SP320W)」(CMYK+ホワイト)の導入に至りました。
前田 今回は、最高レベルの生産性に加え、システムの将来的な可能性もご評価いただき、inca(SP320W)の採用をいただきました。素材の影響を受けずに印刷が可能な白インクへの対応も業務の拡大に大きな効果をもたらすと思います。現在、国内のS&D業界では電飾および従来スクリーン印刷で印刷していたフィルム系メディアがインクジェット方式に移行してきたことで白インク対応は欠かせない機能であり、まさにinca(SP320W)は日本の実情に最適なシステムと言えるでしょう。
また「今後の幅広いニーズに応える平面素材印刷」に関して、incaのワイドフォーマット対応のフラットベッドはとても有効です。厚さ30mmまでの素材に対応でき、凹凸のある立体表面にも印刷できることも大きな特徴となります。さらに各種素材に印刷する際に忘れてならないことは、富士フイルムセリコール社のUVインクが、incaの持つ多くの特徴を最大限に引き出すということです。
